心海2センチメートル

おたくが語る「好き」について

『ケイステ』観劇録

CONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」

密かに今年の目標に掲げていた()『推しの主演舞台を観る』という夢が叶った作品です(??)

w主演、演者6名、コンテンポラリー、シアターミクサ!!!!何がどうなるのか予想も付かないままに初日を迎えた気がします

今回は配信(初日、前楽、千穐楽)と現地(7/19夜、7/20昼夜)の観劇予定

なので初日は配信で迎えました

原作履修の良さは美少年探偵団で学んでいたのですがどうしようかな〜〜〜と悩みつつ、最初は何の色眼鏡もなく観たい!!ということで

観劇前に履修させていただきました

 

今回の舞台は、立花くんの芝居、表現と向き合える90分間

本当に贅沢な大切な90分間だったなあと思います

正直初日配信をアーカイブでド深夜に観てからというもの、ずっと魂を囚われ続けた7月後半でした

配信、現地など折々で色んなことを思ったので、総括して記しておきたいと思います

 

 

 

 

チェロとヴァイオリンが奏でるこのひとつめのテーマ

現地した時、音出しの後、幕の後ろ側でチェロとバイオリンのおふたりが目線をあわせ、スッ、と息を合わせて演奏が始まった時、空気が一瞬で変わるのを感じた

生演奏ってすごい……!!同時に、たった2つの楽器、ふたりの奏者でこんなに豊かに心が震えるのか……とも思いました

2人主演、2つの楽器、箱と幕と板

これだけシンプルに、かつ研ぎ澄まされてつくられている舞台、ケイヤク

一体誰がどんな気持ちでこの企画を……と思ってる節もあったのでパンフめっちゃ有難かったな、、、、

 

原作を読んでみて、これ以降の物語をするにはやっぱり登場人物が必要で

いや今作のうちでもだいぶ上手く登場人物達を表現してるんだなってびっくりしてるんですが、それでもこの『ケイヤク』という物語をふたりで演じ、ふたりが進めていくものとした、ということに既に涙が出そうになる あんまりにも美しいよ

 

箱は何個欲しい?から始まったというこの作品の稽古

少しずれて並んだ箱がぴったりはまったり、ひとつの箱をすれ違わせたり

見て考えて感じるものが沢山ある、シンプルの裏にたくさんの心がある作品だとおもいます

 

国下一狼という人物の真面目さ、言葉の重さが冒頭ではっきりと印象付けられるからこその、だんだん感情があらわれたりピュアな一面を発揮したりギャップ萌え的な魅力がすごい勢いで染み渡るーーーー;;本当に魅力的に役を演じる方だなとおもうし、だからいつも立花くんの演じる役がだいすきになるよ

 

銃を突きつけられていてもずっと役を通し、起き上がった瞬間に切り替わったと思えるのすごい

せめて墓で安らかに眠らせてやりたくて、の台詞に弟が滲み出てるみたいだった

「手を組まないか 英獅郎」

この一言から始まる物語 最後まで見てまた振り返った時にここの台詞を本当に大切に紡いでいて泣く

 

シアターミクサの小さな舞台のさらにひと回り内側を幕で囲っているから、着替えや移動、入も捌けもあえて見える

舞台にずっといる推しが見れるの幸せだなーーーー!!!

舞台に入るときの背筋を伸ばした歩き姿が見える

かと思いきや幕の外側もセットの一部になってシャワー室になったり旅館の暖簾になったりするし

 

青とティールのような色のライティングが多様されるんだけど、とっても綺麗だった

お墓の前とか、空気が澄むというか ふたりにとって特別な思いを抱いてそこに立ってる、というのがこの色で描かれるのが美しかったな

なんというか2種類のキービジュアルがその通りだったと思いました

 

墓前取っ組み合い、スピード感がすごかった

あと最後に殴ったあと流れるように不自然さなく座った姿になるのすげー!!

手を組まないか、すこし宙に浮くような投げかけだった

あとここの後ろでチェロが鳴る

19夜のカテコで立花くんが教えてくれました 一狼チェロがち獅郎バイオリンがちの話、それ聴いてから観るとまた味わいが深い!!

 

契約から始まった利害関係が

「もう絶対引き返せないからな 英獅郎」名前を呼ぶんですよね、強い決意を込めて

本名なのかもわからないといいつつ、その名を認める

空っぽの墓に真実が隠されている

それを箱で表現する 美しいね

 

江おんの時は舞台の幕が上がって、舞台装置の木の匂いがした時に現地来た!って実感したけど、今回は箱が滑る音がした時に実感しました 滑り良いね そりゃあ立花くんのスライディングも2歩ではけますわ 2歩で、?、???

 

こへくんはタイツ越しで立花くんはダイレクト上裸なのどうしてなのそれでいいと言うのですかありがとう

メープルの瓶を拭いてこんなに?って顔で置く、その一連でなんかこう、自分と違う個、相容れない、情報は明かさない そういう気を許していない関係性というのを全面に溢れさせてるのがね 明確な線引きを感じるパート 平行線だなのかんじ

 

お前は本当に莉音先輩の……のとこ、少し前のめりに顔を近づけるように迫るからほんと狙われちゃうよ

 

触りたい……豆柴犬!!!のとこめっちゃ熱演になってた!!!!可愛い!!!じょーほーの漏洩はいいのかよ!!!!それな!!!!!田口さんは最高なので

 

対立派閥との枕シーン、刺されてますねというか斬られています いたぶられています

加虐趣味のある変態と言ったところか……

 

どぎついの、と獅郎は言ったけど

じわ、と切られてるし怪我を負うような 傷を負うような思いをした

このシーンの一狼について、観劇前から23転しつつ色々考えました

吐き気を訴える怪我人に対して、一旦たべるのやめろ、としか言えなかったこの距離感

原作にないこのセリフ

最初は無理して甘いもの詰め込もうとして……みたいな気持ちだったのかなとかんがえてたけど

もし一狼が獅郎の傷、心の怪我にも気づいていたなら

「身体の状態は、」としか聞けない もう一歩踏み込めないもしくはどう踏み込めばいいのかわからないこのかんじ、「その言葉」では届ききらない、心のもっと深い部分の傷

それに後半では直に触れられるようになってんだね

心の奥の弱いところに直接その手で触れる、手当する

カーチェイスで怪我を負った一狼に、「じゃあ、傷の手当を、!」って救急箱持ってくる獅郎

絶対に無理だけはするな、そう念押しして送り出して 結局無理して頑張ってやり遂げて帰ってきた獅郎に、「お前は大丈夫なのか、」ってわざわざ聞く一狼

前回は監視アプリで全部見られてて、怪我もしてて、そして一狼の前でげえげえ吐いて

今回は見られてはいないし吐いてきたこともバレてないはずだし、怪我もヘマもなにもないのに、

 

「見えないところにだって、傷はできる」

そんなふうに今度は、獅郎の心の一歩近くに、そばに踏み込んで 手を当てたんじゃないかな

 

拭えない嫌悪感や、犯したリスク その全てを背負ってでも、そこまでしても……という獅郎を隣で見てきて、一狼がたどり着いた思いやりのかたち

 

だから「治った、今ので!」になる

手を当ててくれたから、治る

 

誰も手を当ててくれなければ、その傷口はそのまま残ってなかなか治らない もしかしたらずっと残るかもしれない

でも一狼が手を当てた それは獅郎にとって、その傷を治してくれるものだったんだね

 

これがたった90分の物語の冒頭と後半にあることの表現よ……!!

最終的にこの2人は「一緒に居るぞ」ってそれだけで何より安心して背中預け合えて勇気が満ちるそんな関係になっていくわけだけど

その一辺、ひとかけらをこんなふうに舞台でつくりあげてくれたのが なんというか嬉しかったです

包帯巻くシーン、20夜はなんかもう目隠しどころか鼻までかかっててすごかった笑

 

ここで突然国下一狼の好き衣装ランキング発表です!!!!

1 私服Vネック紺Tジーパン

シンプルにスタイルが良い 素材の良さが際立ち過ぎてやばい

あとスーツに比べて前髪の分け目がざっくりになるのもだいすきです

立花くんとしても大好きだし一狼のオフ感も好き とってもすき

2 ワイシャツ前開けネクタイ引っ掛けカーチェイス後の一瞬のあれ

2位に食い込むかってくらい一瞬なんですがすまん大好き

3 白衣

これまた一瞬 来た瞬間なんであんなに雰囲気変わるんですか、、、、あとどんどん精神科医の解析度が高くなってる 話し方の特徴が出ている

あんな風に診察されたいなーーーー

気分はどうですか あれどこのサナトリウムですか

 

家とか旅館とか部屋とか、入り口を入るシーン多いけどそれを箱と箱の間を通ることで表現してて細かいなー!て思った シンプルだけどつくられている空間

 

旅館で自分の両親の事件について話す一狼のシーン

 

『それから俺は警察官になろうと決めた

でも正義感じゃない

8歳の子供が、やり場のない思いをどうにかするために、

何度も飲み込まれそうになる負の感情に抗うために、

自分が生きるために

必死で見つけた目標だった』

この台詞を言う立花くんがすき

負けないために、強くなっていくしかなかった

いきていくために

それを熱量だけじゃない、哀を抱いた感情を纏って紡ぐのが本当に美しくてすきだとおもいました

あくびかわよ〜〜〜〜〜〜🙏

このシーン、立花くんの台詞がすごく心に響いてくるんですよね

じぶんがいきるために、折り合いが付けられるようなものではない、大きなものを真っ向から背負っていきている一狼

真っ直ぐで哀しくて澄んだ眼差しが本当に美しくて、乗せられる表現全てが愛おしくて切ない、初見した時本当に心が震えたシーンです

 

初日と少しずつ語り口調が変わったかなとも思いました 生きているお芝居

8歳の12月、寒い冬の季節、きっとクリスマスや冬休み、年末、お正月を家族で過ごすのを楽しみにしていただろうなあ

突然、事件で親を亡くし

ひとりぼっちになって

犯人を殺してやりたいと 包丁を握り締めた、小さい子どもが

その包丁は、自分のいのちを断つことも

憎しみに駆られ誰かを殺すこともできる

そんなやり場のない思いを、なんども飲み込まれそうになる負の感情を、確かに抱えながら

それでも自分を律して生きてこなきゃならなかったのか たった8歳で 一狼は

おばあちゃんが誕生日に「ありがとう」って言ったその意味を

そうして生きてきた一狼が少しずつわかっていく

その隣には獅郎がいたんだね

「ハッピーバースデー、相棒」と言えるまでになる関係性で

 

てかさあ獅郎の誕生日は里親からの贈り物でわかってたかもしれないけど、その後一狼も誕生日ってちかちゃんに言われたから発覚するって、、、、そんなことある、、、、それなのに一狼は獅郎にありがとうって伝えたくてケーキ作ってるしさあ、、、、、ねえ、、、、、そんなことある;;;;;;;;

 

このケーキ作りのシーンなんですけど、異臭騒ぎでなんだ!?てなってる獅郎と、下手側では一狼がまるで何かの任務でその身に何かあったかのようにちゃんとスーツ姿でいるの細けえ〜!!て思いましたその為だけのスーツ

だからその後にエプロンシーンがあるのか!

やることも覚えることも本当に多いけどそうやって緻密にこのシーン、舞台がつくられていくんだなあと思うと本当にすごいね……特殊なW主演だなとおもいます

 

この時一狼から獅郎に贈られる「ありがとう」と、獅郎から一狼に贈られる「相棒」って言葉、本当に素敵な贈り物だなあと

ちなみに原作で贈られる寝床と月の土地のエピソードもめっちゃすきです 月の土地

 

この関係性をなんと呼べばいいのかずーーーーっと考えてた前半戦でした

そしたら作中でも同じこと考えてて、君たちがそういうならそうなんだねって思った 一緒に居る存在恋とか愛とかを別軸に添えた相棒、片割れ、唯一無二のケイヤク……;;;;

 

情報操作めっっっちゃこわいよな 先輩が見つかるどころか、状況的には劣勢の状態で終わるの結構びっくりはしたんですが、

それでも

このふたりが、対立する立場の人間として出会い、

自分のものでは無いその温度に安心して眠れるようになるまで、をすくい上げて流れるように紡いでくれたような

気持ち的には原作ラブホ回のラストのような希望のある展開に思えました コンテンポラリーダンスって美しい

 

いきているものの手と手が触れ合うって本当に切なくて美しい表現だなあ

不意に触れ合ったり、思わず伸ばしたり、掴んだりすり抜けたり握り返したり

握りあって体重を掛けて、同じだけ力を入れてあげたらふたりで起き上がれるんだ

手で触れる、それを切欠として目線が通い、心が寄り添い合う

影のように動くダンサーさんや、片方が立ち上がり片方は項垂れる

同じ動作、違う人間、でも確かにひとりとひとりとして手を取り心を寄せあっている

あまりにも美しくて泣いてしまうシーン

心がいっぱいだなってわたしもおもいます

 

全てが終わったら、あのシーンがラストの前に入ってくるのもとても畳み掛けていくなあと思いましたが

刹那的に生きる獅郎が、「またこうやって、」という未来を、一狼がとなりにいることで少しずつ、描いてみようとしている

生きることに目を向けている 未来のために

卵焼きのとこから涙無しではみれませんまじで

 

全てがラストシーンに詰まっているし、そして全てがあるから最後のシーンがこんなに届くんだなあと思うし

8つのチャプターで紡いできた関係性、思い、心が乗ったコンテンポラリーダンスの表現

掴む、離れる、体を預ける、引き合う、離れる、離さない、背をなぞる、視線を合わせる、向き合う、手を繋ぐ

あんまりにも美しくて、ひとりではできない、ふたりだからこそできる表現が、こんなにも美しくて

 

強くて弱くて、前を向いているけど寂しくて

悲しくて寂しくて、自棄な気持ちを抱きながらも図太く、強かに生きている

そんなふたりが互いの生き方を受け止めるように寄り添い、真実に向かって手を伸ばしている

一人で歩いてきた道の先にふたりがいて

伸ばした手が触れ合うように、指先が絡んだり、手首を掴んだり、それを返して掴み返したり、重ねた温もりで息ができる 安心して眠れる気がする

牡丹の下で獅子は眠る

人と人がとなりあって生きていくことのなんと美しいことか

手を組まないか、から始まったふたりの物語が、となりで手を重ねて眠るように終わるのあんまりにも美しくて泣いてしまう

白昼夢みたいな美しい終わり方

 

宇宙は暗くて寒くて孤独で怖い

酸素がなくて息ができない 圧力が大きいから人間は生きていけない 足元も目の前も上も下もない

光も届かない 音も聞こえない

「でも」

ただひとつだけ、温もりだけがたしかなもの

 

ここのセリフは原作だとちかちゃんの存在に対して一狼が、「息ができた気がした」と過去形で、夢の中で紡ぐセリフだけど、

それが今、一狼の目の前にいる獅郎の温もりでもあり、後悔や孤独を抱えて生きる獅郎にとっての一狼の温もりでもあり

「その温もりで、俺はようやく息ができる気がする」

それはふたりともがそうだったんだろうな

孤独も幸せもしっているふたりが、生きていくこと、誰かの待つ家に帰ること、ご飯を食べること、安心して眠ること そういうことに少しずつ手を伸ばしていく ふたりで

 

目を閉じるところ、眠りにつくまで微睡みのなかでも互いをみることで安心して眠れる、みたいな

眠りに落ちるまでそばにいて、のような

あどけなさのある現実と夢の境に身を置きながらもどこか不安で縋るような

瞼を閉じて、互いが見えなくなっても

その代わりのように手を握る

その温もりで ようやく息ができるような気がした

契約は絆へ 信頼は温もりへ

ひとりはふたりへ

そうして朝が来るように役の世界から目覚めるあの瞬間もすきでした

 

 

ラスト観劇、人生初?の最前席だったんですが、立花くんの芝居の密度にやられて完全に心を持っていかれてました あの距離感で浴びる立花くんのお芝居ってすごい すごかった

感情の込め方、表情や視線、空間に対しての立ち居振る舞い方、それをシンプルにその身一つで表現している芝居の力 芝居をしている立花くん

涙が止まらなくてシアターミクサの6階から1階まで階段を降りたんですけど、6階ぶん降りきっても涙がとまらなくて 歩くよ、あるくから……涙がとまらないの、状態だった

 

多分こころのぜんぶをおいてきました

ケイステみて原作みて、ああなんて素敵な作品なんだろうって思ったし、一狼も獅郎も本当に素敵なふたりでどうか幸せになれと思ったし、なんかもう作中の皆で絶対幸せになろうねご飯食べてお酒飲もうね!て思ったし、こんな素敵な原作がふたり芝居で舞台化って解釈の一致ではと思ったし、立花くんが一狼をこんなに素敵にかっこよくかわいく生き生きと切なく演じてくれたことが嬉しいし、推しの初めてのW主演作品が本当に心から嬉しいし、そのための努力や莫大なセリフ量とやることの多さとかを超えて、こんなにも長い時間板の上でずっと最高のお芝居を魅せてくれていることが本当にありがたいし、大変なことも重圧もあるだろうにマジでほんとずっと元気でポジティブで植物植物楽しそうな姿をみせててくれるのが本当に幸せで笑顔になるからもう、まじで観に行って良かった、出会えてよかった心の底から嬉しくて切なくて現地終わっちゃったの寂しくてでも千穐楽までふたり欠けることなくやり遂げたそれも本当に素晴らしくて誇らしくて

見届けられて本当に幸せでした

それはそうとて円盤をください しんでしまいます